我が国は、国土の大半が急峻な地形、脆弱な地質であり、かつ、地震等の自然災害も多いことから、安全で安心できる国土づくり、地域づくりには、最も基本的な社会資本整備の推進が必要です。特に、国民生活を保証する防災工事、快適な住環境の整備及び災害に強いライフライン等の生活関連社会資本の整備は、高齢化社会を迎えようとしている今日、緊急の社会的要請です。また、内外価格差の是正、財政再建が問題となっている折りから、新技術等の開発による建設コスト縮減を図ることも重要な課題となっています。

　このような要請等に対し、アンカー工法は、のり面の崩壊防止や構造物の基礎補強に極めて有効であるとともに、工期の短縮・工事費の節減等の経済性にも優れた工法であります。

　また、自然斜面を残したまま崩壊防止対策が図れるなど、自然保全の観点からも優れた工法であり、近年では、地下工事としてコンピュータ・センサー等を用いた情報化施工も可能となっています。このような環境からアンカー工法は、地下掘削の側面安定、急斜地対策、構造物基礎の補強工法等として需要が急速に増大しています。

　他方、アンカー工法は、不確定要素の多い地層・岩盤を工事の対象とした最先端技術であり、かつ、新素材等ますます技術開発が進んでいることから、高度な技術的知識及び異業種との交流を必要としますが、工事を施工する業者は、一部を除き大多数が中小の零細企業という状況にあります。

　このような状況に対応するため、（一社）日本アンカー協会を設立するものです。
（一社）日本アンカー協会は、施工業者の技術レベルの向上、設計施工の標準化、施工管理、品質、安全の確保に官公庁や学識経験者の指導を仰ぎつつ、積極的に取り組み、その成果を急傾斜地対策事業を始めとする公共事業に反映することにより、安全性が高く、防災性に優れた社会基盤の整備に寄与し、もって国民生活の向上に資することを目的とします。